YMOニュース⑤:事業再構築補助金の行政事業レビュー「公開プロセス」を視聴してみました!

事業再構築補助金

昨日、経産省の事業再構築補助金の行政事業レビュー「公開プロセス」が開催されましたので、以下簡単ですが内容について解説したいと思います。下URLは当日の動画、及び説明資料等になります。

この公開プロセスは約1時間ですが、中小企業庁内の事業再構築補助金の担当部署である経営支援部部長さんが事業概要を説明後、有識者6名と担当部署との質疑応答という議事進行となっています。以下、中小企業庁(担当部長)からの説明・回答の要旨に関する簡単な解説です。

1)事業再構築補助金は前例にない大きな補助金。使途を特定しない「給付金」の要望・期待が依然として強い中、やはり使途目的がはっきりしている補助金へシフトする目的で当補助金が生まれた。

2)申請要件に売上10%減があるが、全業種をみると約50%の事業者が10%以上売上減となっているようだ。

3)採択件数は67000社を想定しているが、これに拘って採択率を調整する気はない。本当に事業再構築に該当する案件を採択する。ただ、5回にわたる公募での不公平感をなくするために、6700社という見通しの数字を決める必要があった。この数字で逆算すると補助対象金額は2000~3000万円になるが、1次公募の結果を見るとだいたい想定していた金額規模になっている。

3)再構築の意味がなければ採択しない。再構築の指針を公表した時は、事業者から厳しすぎる・ハードルが高い等多くのクレームをもらったが、事業計画を書いてみたら意外と良かったなどの意見ももらっている。障害物競走のようなもので、「意外といい訓練になりました。新しいことに気づく良い機会でもあった。」というような言葉もあった。再構築指針を変更する考えは今のとことない。

4)審査員へは「方向性の是非はともかく、ちゃんと事業化できそうな計画となっているか良く見てください」とお願いしている。「再構築性がきちっとあること」と「実現性があること」(絵空事ではない)ことが重要。

5)1次公募での数百の申請書(事業計画書)に目を通したが、共通した特徴として「顧客規模の想定の積算根拠が甘い」と言える。「なぜ、それだけのお客さんと取れるのか?」仮に厳しく見ると8割落第しそうな感じである。これは、マーケティングに必要な基礎的な情報がなかなか取れないのではないかと考えている。(42;40~)

6)審査基準であるが、ファンドの投資基準、金融機関の融資基準と比べれば、大分甘いものになっているが、撤退すべきところを支援していく考えはない。

後日、一番上の経産省HP公開プロセスのページに議事録が張り付けられるかと思いますので、公開されたらお知らせしたいと思います。

以下、この公開プロセスを視聴しても私見、まとめになります。

  •  レビューの結果として、6名の有識者の評決は、「現状維持3名」「一部改善2名」「抜本的改善1名」となりました。故に、全体では「一部改善」という結果になりましたので、今後この公開プロセスを踏まえ公募・審査内容等が少し変更になる可能性があるかと思います。(例えば、質疑の中にあったBCP(事業継続力強化計画)が加点項目になる可能性など)
  • 有識者から審査の公平性・定量化についてコメントがありましたが、中小企業庁からは「なかなか難しいのが現状、今後検討していく」との回答です。個人的に事業計画書を定量的に評価することは限界があり、やはり大きくは定性的な評価にならざろうえないかと考えます。(審査員の個人差に左右されることにはなりますが)
  • (上の経産省HPに張り付けてあるレビューシートにありますが)採択予定件数は67000件、申請予定件数は170000件となっています。これでいくと、予定採択率は40%ということになります。これは1次公募の申請結果を踏まえたものと推察しますので、1次公募の採択率はこれぐらいになるのではないでしょうか?(あくまでも予想ですが)
  • 今回の中小企業庁からの説明にあるとおり、審査では「再構築性がきちっとあること」と「実現性があること」(絵空事ではない)ことが最重要と個人的に考えます。そのためにも、顧客獲得・売上計画の算出根拠となるターゲット顧客分析、「4P」等のマーケティングフレームワークを使ってしっかりと「事業化できる」ことをFACT&FIGREで説明できることが重要です。
  • 私は今まで事業者支援として多くの事業再構築補助金事業計画書に目を通してきました。確かに前半部分の「具体的な事業内容」についてはしっかりと記述しているのに、後半部分の「どのように事業化するのか?」(将来の展望)に関しては薄っぺらい内容になっている事業計画書も多いです。いくら素晴らしい事業内容でも、「ちゃんと商売として成り立つ、事業化できる」こと根拠を明確にした上で説得力をもって記述しないと高い得点は望めないかと考えます。

最後に、事業再構築補助金の公開プロセス後に行われた3主要補助金(もの補助、持続化、IT導入)のレビューですが、動画の1:30:00頃から始まっております。大きくは審査の透明性・公平性、効果測定に関する質疑応答になっております。ご興味のある方はご視聴いただければと思います。i

矢埜 幸男

矢埜 幸男

これまで幅広い分野で多くの和歌山県内事業者を支援してきました。特に、各種補助金の申請サポート、プレスリリース作成サポートにおいては、事業者のお役に立てると自信を持っております!

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矢埜 幸男

矢埜 幸男

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