【速報】IT導入補助金の不正受給問題、及び今後の影響について簡単に解説!

生産性革命補助金

一昨日、経産省の主要補助金のひとつであるIT導入補助金において、不正受給が横行している旨の報道がありました。来年の補助金公募に少なからず影響があるものと思いますので、本日は当件について簡単ですが解説してみたいと思います。

1)IT導入補助金の不正受給問題の要旨(下のNHK記事からの抜粋)

  •  「会計検査院が、令和4年度までの3年間に交付された補助金の0.8%にあたる445件、12億1000万円余りを抽出して調べたところ、9%にあたる41件で、補助金を受けた事業主がベンダーとその関連会社から協賛金や紹介料などの名目で資金のキックバックを受ける不正を行っていたことがわかりました」
  • 「さらに88件でも、ベンダーとの間で同じような資金の流れがあり、不適切な補助金支給は、調査対象の35%にあたる154件、合わせて4億円近くにのぼっていました。」
  • 「会計検査院は、中小企業庁などに対し、ベンダーが不正を働きかけていた1978件、合わせて58億2000万円余りについて、追加調査を行って不正受給分を速やかに返還させるよう求めた」
  • 「中小企業庁は「補助事業を執行している中小企業基盤整備機構に対し、審査の厳格化や立入検査の強化などを確実に実施し、再発防止策をとるよう指導や助言をしていく」としている」
  • 「会計検査院の調査で、国を挙げてデジタル化を進める中で、多くの事業者が「実質無料」をうたう悪質なベンダーの営業に乗せられ、国民が納めた税金から交付された補助金が食い物にされていた実態が浮き彫りになりました」

詳細は下の関連記事をご覧ください。 

・NHK:IT導入補助金で不正受給横行 “実質無料”営業で資金環流 | NHK

・日経新聞:IT導入補助金、1億円超不正受給 検査院が還流を指摘 – 日本経済新聞

2)会計検査院が公表した報告書について

今回、会計検査院が公表した報告書(7ページ)は右URLのとおり。>> 061021_point.pdf 

検査結果の全体像は下スライドのとおりですが、詳しくは当報告書をご覧ください。(下スライドは当報告書からの抜粋になります)

3)解説・私見

  • 経産省関連の補助金では過去最大の不正受給問題になるかと思います。
  • 上の要旨にある通り、ほとんどの場合、ITベンダーからの働きかけによる不正であったようです。
  • 当補助金では事業者とITベンダー(IT導入支援者)との共同申請であることが不正受給の一番の要因かと思いますが、申請が簡易であり、採択率も他の補助金と比べ非常に高いことも背景にあるような気がします。 (直近の採択率は80~90%という高水準)  
  • 補助金事務局HPには、10月18日付けで不正のあった19のITベンダーが実名で掲載されていますが、福岡県のベンダーが多いようです。>>トップページ | IT導入補助金2023 リストには和歌山県のベンダー名はありません。今後も追加調査の中で不正のあったITベンダーは実名公表の上、IT導入支援者としての登録が取り消されるでしょう。
  • 記事にもあるとおり、これは氷山の一角でしょうから、今後過去全ての採択案件を調査する方向かと思います。最終的に、どれぐらいの不正規模になるのでしょう?当然、不正受給対象の事業者は、補助金の返還を求められることになります。

 4)今後の影響について

  • 来年も継続される予定のIT導入補助金ですが、予算規模が縮小することはあっても、廃止に向かうことはないと考えます。
  • ただし、今回の件で徹底した再発防止策、及び今回会計検査院からの指摘事項への対応策を検討・実施する必要があります。現在の補助金事務局はTOPPANですが、管轄の中小機構と制度の見直し、不正チェック体制について協議していくと思われます。徹底した再発防止策・指摘事項への対応策を構築するまでは、来年の公募を再開できないでしょう。来年の公募時期が予定より遅れる可能性が高いと考えます。
  • また、来年は審査自体が厳しくなり、現在の非常に高い採択率が下振れする可能性もあるでしょう。
  • 最後に、現在公募中でありカタログ型で申請が簡易な省力化投資補助金について、ベンダーと事業者の共同申請という点ではIT導入補助金と同じ申請方法になってます。つまり、ベンダーからの不正の働きかけが理論上可能であり、同じような不正が起こる可能性があるかと思います。省力化投資補助金の管轄も中小機構ですが(事務局は中央会)、今回の件で省力化投資補助金の制度・審査・チェック体制にも影響が出てくることが予想されます。

以上、今回の不正受給問題についての簡単な解説ですが、今後の追加調査で全不正件数・不正受給総額など全体像が判明するかと思います。それにしても、世の中から不正がなくなることはないですね。池井戸潤の小説・映画である「7つの会議」を思い出してしまいました。

矢埜 幸男

矢埜 幸男

これまで幅広い分野で多くの和歌山県内事業者を支援してきました。特に、各種補助金の申請サポート、プレスリリース作成サポートにおいては、事業者のお役に立てると自信を持っております!

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矢埜 幸男

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