近年、政府は中小企業の中でも特に売上１００億円を目指すような事業規模の大きい企業、及び中堅企業（従業員数2,000人以下）を積極的に支援しております。背景には、事業規模の大きい企業は「国内経済、国内投資への貢献が大きいこと」や「地域への賃上げ水準引き上げ貢献が強いこと」があります。政府方針として、そのような企業を支援することで１００億円企業創出を加速化したいという狙いがあります。
そこで本日は、来年に実施される「売上１００億円を目指すような企業」を対象とした２つの補助金について、その概要を解説してみます。
１）中堅・中小向けの大規模成長投資補助金の新規公募
当補助金は、工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助するものであり、本年公募では申請要件として「投資額１０億円以上」という高いハードルが設けられました。昨年２回の公募を実施、補助上限額が５０億円ということで想定以上の人気となり、多くの事業者が申請しました。（結果として、２次公募の採択倍率は約１０倍）この人気を受けてか、来年も新規公募が実施されることになり、今年の補正予算案に１４００億円（３年総額で３０００億円）という大きな予算が計上されています。本年同様、来年も２回の公募があるかと思います。（ちなみに、本年の公募は４月締切、８月締切でした。）来年の公募内容は、本年とほぼ同じかと予想しています。当補助金に興味のある事業者は、是非下のURLへアクセスしてみてください。
①２０２４年度事務局HP：中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化などの大規模成長投資補助金 | 経済産業省
②２０２４年採択企業の概要資料：補助金交付が決定した企業 | 経済産業省
次に、下のスライドにあるとおり、当補助金予算内の別事業として「大企業から経営人材を受け入れた場合に給付金を給付する」とあります。これは、本年にはなかったものです。給付金ですので、申請の際不備がなければ、そのまま給付されるかと思います。給付上限額は４５０万円。給付対象は当補助金の採択者に限定されるか否か不明ですので、今後の情報開示を待つ必要があります。
２）中小企業成長加速化補助金の新設
来年新設される当補助金に関し、現在判明している情報は、下のスライドのみです。
- 申請要件には「売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件 等」とあるだけで具体的ではありません。スライドには小規模事業者も書いてありますので、売上高等の事業規模の要件はなさそうですが、現実的な「売上１００億円を目指すビジョン」を示す必要がありそうです。想定できる申請者としては、事業規模の大きい中小企業（売上が少なくとも１０億円以上？）、規模は小さいが将来急激な成長を見込める所謂スタートアップ企業等になるかと思います。
- 補助対象経費には建物費も入っており、１）大規模成長投資補助金や事業再構築補助金とほぼ同じになるでしょう。
- 私見ですが、当補助金は１）大規模成長投資補助金の下支えとして、１０億円以上の大規模投資ではないが、成長のために数億円規模の設備投資を計画している企業が対象になるのではないか思っています。ということで、予想としては、補助上限額は５億円程度、補助率１／２ぐらいでしょうか？
- 当補助金は（基金ではなく）単年度予算ベースと理解していますが、補助対象に建物費が入っていることから、補助事業の実施期間は複数年度にわたってもOKになる可能性が高いと考えます。
- 来年の予算額（案）は１０００億円と大きいものです。公募は２回程度でしょうか？来年早々に補助金事務局を公募・決定する必要がありますので、１回目の公募開始は４月頃になるのではないでしょうか？
以上、両補助金共に「売上１００億円を目指す成長志向の企業」を支援するものですので、申請要件等ハードルは高くなりますが、成長意欲の高い事業者は上記補助金の活用をご検討ください！
