1)先週、公取が下請法違反に抵触する恐れがあるとしてダイハツ工業など10社の社名を公表
3月に入り、公正取引委員会は日産自動車へ対し下請法違反の勧告を行いましたが、先週には下請法違反に抵触する恐れがあるとしてダイハツ工業など10社の社名を公表しました。(公取委は法令違反を認定したわけではありません。)下請け事業者などからの価格転嫁要請に応じず、取引価格を据え置いたことが理由のようです。
ダイハツなど10社、価格転嫁応じず 公取委が社名公表 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
先週行われた政府、経済界、労働界の3者による「政労使会議」で、岸田首相から以下の発言がありました。
- 「中小・小規模企業の十分な賃上げによって、すそ野の広い賃上げを実現することが大切であり、あらゆる手を尽くしていく」
- 「具体策として、中小企業が賃上げの原資を確保できる環境整備が重要だ。大企業などが下請けに不当に安い取引価格などを要求する行為に厳正に対処していく」
上記の政府方針・姿勢を背景に、公正取引委員会・経産省は今後も下請取引の適正化に向けた取締りを一層強化していくものと思います。
さて、2年前より経産省は下取り取引アンケート調査における「価格転嫁・価格交渉に後ろ向きな大企業」を実名公表していますが、今回公表された10社、及び日産に対するアンケート調査結果(下URL)との関連性が気になりましたので、ちょっと調べてみました。
【第3弾】経産省が価格交渉・転嫁に後ろ向きな大企業を「実名」で公表!2024年1月公表分 – YMO (yano-support.com)
下の表のアンケート調査結果は直近の今年1月公表分ですが、日産自動車、京セラについては平均以上の評価になってますね。回答した下請け業者には、発注者(親会社)に対する遠慮があるのかもしれません。いづれにせよ、あくまでもアンケート調査ですので、鵜吞みにはできないようですね。
2)昨年に公取から勧告を受けた企業は8社、今年は3か月で既に6社!
上で述べた政府、経済界、労働界の3者による「政労使会議」での公正取引委員会資料(shiryou2.pdf (cas.go.jp))の中から、以下のスライドを抜粋しました。昨年以降、公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けた大企業のリストになります。昨年に勧告を受けた企業は8社、今年はまだ3月ですが、既に6社が勧告を受けています。恥ずかしなら日産自動車以外は知りませんでした。勧告を受けた企業は、思ったよりいるんですね。
以上、世の中の流れは「更なる下請取引の適正化」「中小の価格転嫁促進=中小の賃上げ促進」ですので、大企業と取引のある中小事業者は、(必要であれば)取引先との価格交渉へ注力いただければと思います。その際は、下の記事で説明しています「中小の価格転嫁を促す交渉指針」、「価格交渉申込テンプレート」をご参考ください。
【下請業者必見】公取委が「中小の価格転嫁を促す交渉指針」公表!「価格交渉申込テンプレート」も必見! – YMO (yano-support.com)