昨日、厚労省審議会は、１０月からの最低賃金「を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とする」と決めました。28円の引き上げ額は過去最大で、上げ幅は3.1%になります。
（先日の配信で、上げ幅の目安の最終決定は、今月末ごろと書きましたが、間違ってました！申し訳ありません）
＊日経新聞記事：「最低賃金3%上げ、全国平均930円 審議会が28円増で決定」 ＞＞https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA136230T10C21A7000000/?n_cid=BMSR3P001_202107141458
また、これまで審議会は都道府県を物価や経済状況に応じてA～Dランクに分けて目安を示してきたましたが、今回は「全てのランクを28円とした」とのことです。引き上げ額が一律ですので、低水準の地域の上げ幅は一層高くなります。政府としては、「少しでも最低賃金の地域差を縮じめた」という意向が働いたかと思います。ということで、。。。
＊和歌山県の１０月からの最低賃金（目安）＝８５９円（UP率＝３．４％）
当然、過去最高の引き上げ額になります。以下、近畿圏、及び和歌山の隣接県の予想される新しい最低賃金になります。
上の日経新聞記事には以下の文がありますが、中小企業団体等の反対にも関わらず、政府の強い意向で「コロナ前の引き上げ幅＝約３％」の戻ったことになります。
「政府は6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針（骨太の方針）で最低賃金を巡り「感染症拡大前に引き上げてきた実績を踏まえ、より早期に全国平均1000円をめざす」と記した。業績の低迷から中小企業の団体などは現状維持を訴えたが結果的には政権の意向通りに決着した。」
これを受けて直ぐに、日本商工会議所は以下の声明をHPで発表しています。以下、その要旨になります。（https://www.jcci.or.jp/news/2021/0714161853.html）
- 「最低賃金は全ての企業に一律に強制力をもって適用されることから、長引くコロナ禍により飲食業や宿泊業を中心に極めて厳しい業況の企業が多い今年度については、なお事業の存続と雇用の維持を最優先にすべき状況であることを踏まえ、「現行水準を維持」することを強く主張してきた」
- 「東京で４回目となる緊急事態宣言が発出されるなど、先が見通せない経済情勢の中、昭和53年度の目安制度開始以降で最高額となる大幅な引上げとなったことは極めて残念であり、到底納得できるものではない。中小企業・小規模事業者の窮状、とりわけ困窮している飲食業や宿泊業などの事業者の実態や痛みを理解していない結論と言わざるを得ない。多くの経営者の心が折れ、廃業が更に増加し、雇用に深刻な影響が出ることを強く懸念する。」
- 「今後行われる地方の審議会では、中小企業・小規模事業者や地域経済の窮状をしっかりと考慮した検討が行われることを切に願うとともに、政府はコロナ禍の影響に苦しむ中小企業・小規模事業者への支援や雇用対策に万全を期されたい。」
正式決定までの今後の運びですが、今回の引き上げ額の目安（２８円）を受け、今月中には地方の審議会が各々の最低賃金を決定することになります。（多分、目安通りの引き上げ幅になるかと思います）
特に、サービス業の経営者には大変厳しい上げ幅になったかと思います。その中でも、未だ緊急事態宣言が続いている首都圏の事業者（特に、宿泊・飲食業）の事を考えると、本当に心苦しい限りです。とはいえ、１０月以降、何卒ご対応いただければと思います。
そして、引き続き、ＩＴ化などによる生産性の向上に注力することが必要になってきます！最低賃金の引き上げの際、先日の配信でご紹介した「業務改善助成金」を活用できるかどうかご検討ください。（下の助成額は、生産性の向上のための設備等に投資することが前提（条件）になりますので、ご注意ください）
追記：
昨年ものづくり補助金、IT導入補助金（一部の類型）で採択された事業者様、申請要件の「最低賃金＋３０円」を、これからも守る必要があります。
