まだ先の話ではありますが、本日は本年10月に実施される2023年度の最低賃金引上げについて書いてみたいと思います。
1)中小企業の賃金・雇用に関する調査結果~最低賃金編~
昨日の配信では以下の日本商工会議所の調査レポート(PowerPoint プレゼンテーション (jcci.or.jp))を紹介しましたが、このレポートの調査項目のひとつに「最低賃金」が入っております。(15~23ページ)昨日、日経新聞が当件に関する右の記事を掲載しています。>>最低賃金「引き上げるべき」4割 中小企業、日商調査 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経新聞記事では、「2023年度の最低賃金について「引き上げるべき」との回答が42.4%に上り、前年より0.7ポイント上昇した。物価高が続くなかで「引き上げはやむを得ない」とする理由が89.3%で最も多かった。賃金支払いの負担感は重く、収益力の向上が課題となっている」としています。
2)10月からの2023年度最低賃金の引上げに関する私見・予想
以下、本年10月に引き上げられる2023年度最低賃金に関する当方の個人的な予想になります。
- 毎年、その年の最低賃金額は厚労省の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)で7月頭ぐらいから議論が始まり、7月中旬ごろまでには引き上げの目安額が決定されます。
- 昨年は物価上昇の影響もあり、審議会での労使間の議論がもめにもめ、引き上げの目安額の決定は例年より遅れて8月頭になりました。(https://www.yano-support.com/management/saichin2022-postponed/)
- 今年になっても物価上昇が加速化している状況を考えると、7月から始まる審議会での労使間議論も相当もめることが予想されます。
- また、今月行われた政府と経済界、労働団体の代表者による「政労使」の会議において、岸田首相は以下の通り言及しています。 「今年は1000円を達成することを含め最低賃金審議会で明確な根拠のもと、しっかり議論いただきたい」>>岸田首相「23年に最低賃金1000円」 政労使会議で目標 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 2022年度の全国平均最低賃金額は961円でしたので、仮に本年度の最低賃金が1000円になれば、引き上げ額は39円、引き上げ率は4%となります。(例年の引き上げ率は3%ほどです)
- 加速化している物価高の現状、岸田首相が掲げた目標を考慮すれば、本年度の最低賃金が1000円まで引き上げられる可能性は十分あるかと予想します。
- ちなみに現在の和歌山県最低賃金額は889円ですので、4%アップした場合は36円増の925円になります。(仮に40円引き上げられた場合は929円になりますね)
以上が私見になりますが、実際にどうなるかは蓋を開けてみないと分かりません。とはいえ、事業者においては本年10月の大幅な最低賃金引き上げの可能性を念頭に置いておくべきかと考えます。以下のスライドは、一番上の日本商工会議所調査レポートからの抜粋になりますが、「2023年度の最低賃金の引き上げ額が「40円」になった場合の対応」についても考えていただければと思います。(業務改善助成金等の助成金活用を含め)