今月に入り、新聞各紙は毎日のように今後の大型経済対策について報じております。19歳以下や住民税非課税世帯への10万円給付金をはじめ多くの支援策が検討されており、財政支出が総額40兆円を超える見通しとなっています。本日は、(その経済対策の中に盛り込まれると予想される)中小事業者支援に直接関連する施策についてまとめてみました。政府は19日に最終的な経済対策を決定すると言ってますので、情報が入り次第当、当ブログにて直ぐにお知らせします。
1)持続化給付金の第二弾!
事業者向けの給付金の概要は先週書いた下の記事のとおり。 >>https://www.yano-support.com/management/kyufukinhosei2021/
申請枠は「50%以上売上減」と「30%以上売上減」に分かれるようですが、各枠の給付金額計算方法などの詳細は19日以降に判明するかと思います。早ければ、来年早々にも申請受付が開始されるかもしれません。
2)事業再構築補助金の拡充・新しい特別枠
前回の記事に書いた通り、「コロナ後の社会の変化に合わせた業態転換を促す補助金(事業再構築補助金)を大幅に上積みし、経済成長にもつなげる」と日経新聞が報じています。また、新たな申請枠として「グリーン枠」が新設され、補助上限額を引き上げる」とのことです。「グリーン枠」とは、「カーボンニュートラル」に関連する再構築事業が対象になるかと予想します。「新しい資本主義実現会議」の緊急提言の中に、「2050年カーボンニュートラルに伴う産業構造転換を支援するため、部品サプライヤー、ガソリンスタンド、整備拠点などが、自動車の電動化に伴い事業転換・事業再構築に挑戦する取り組みを支援していく」とありますので、これを受けてのことかと考えます。
また、同じ緊急提言に、「売り上げ減少要件の緩和を図る」とあります。売上減少要件の緩和とは具体的にどういうことなんでしょうか?仮に、売上減要件が撤廃になれば、申請可能な事業者が相当増えるかと考えます。(「緩和」と言ってますので、撤廃されることは難しいでしょうが)
気になる予算額ですが、「大幅に上積み」とはありますが、どうなるでしょう?1)の給付金予算額が3兆円とのことですので、前回の1兆円超とまではいかないような気がします。今月中には閣議決定される補正予算案の中で判明するかと思います。
3)3主要補助金の拡充
中小事業者の生産性向上を支援する目的に、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金の3主要補助金の追加予算が計上されるかと予想します。昨年の令和2年度補正予算(1次~3次)では総額4000億円が計上されましたが、令和3年度補正予算案での予算規模はどれくらいになるのでしょう?
4)事業承継・引継ぎ補助金の拡充
当補助金は既に来年度当初予算の概算要求にも計上されておりますが、例年通り補正予算案にも計上されるかと思います。昨年の補正予算には57億円ほど計上されましたが、昨年以上の予算額になるかと予想します。
5)賃上げ企業への税制措置(所得拡大促進税制)
賃上げに積極的な企業に対する税額控除の率を引き上げることなど制度を抜本的に強化するとのことです。具体的には、平成29年度の税制改正で実施した「所得拡大促進税制」を新設・拡充することになるかと考えます。以下、ご参考まで。
*「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年度の税制改正資料)>>https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/pdf/20210908syotokukakudaisokushinzeiseih29.pdf
6)雇用調整助成金への追加予算
コロナに伴う雇調金の支給決定額は現時点で4.8兆円、21年度の雇調金の財源は使い切り、他事業の資金を活用してまかなっているそうです。故に、(厚労省の)補正予算に追加予算が計上されるようです。今後の雇調金ですが、雇用調整助成金の特例措置について、政府が一日当たりの助成金の上限額を来年1月から段階的に引き下げる方向で検討しているようです。(売上が大幅に減少した企業(30%以上減)などには現在の特例措置(上限1万5000円)を来年3月末まで継続する方針)
*NHKウェブ記事>>https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211112/k10013345641000.html
7)GoTOトラベルの再開
既に報道等でご存じでしょうが、政府は「GoToトラベル」について、早ければ来年1月中旬に再開する方向で調整しているようです。昨年の補正予算で計上した予算額が未だ残っていますので、今回上乗せがあるかは不明です。
*読売新聞ウェブ記事「GoToトラベル、1月中旬にも再開…割引額は上限1万円に引き下げ検討」 >>https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211113-OYT1T50265/
当然、「新型コロナ感染者数の推移や、治療薬の効果などを見極めながら最終判断する」ようですが、いまだ非常に厳しい状況にある観光地の事業者(宿泊、飲食、小売など)のためにも、再開される事を切に願います!
8)その他
19日決定される経済対策、月内に閣議決定される補正予算案には、上記以外の事業者支援策も盛り込まれるかと予想します。また、経済対策として地方自治体向けの「地方創生臨時交付金」も昨年同様拡充されるようですので、来年の県・市町村独自の事業者支援策も継続になるかと思います。