先日の中小企業庁長官の年頭所感に関する記事にあったとおり、経産省・中小企業庁は公正取引委員会とも連携し、価格転嫁対策に全力で取り組んでいます。その一環として年2回の「価格交渉促進月間」とフォローアップ調査を実施していますが、昨年のフォローアップ調査の結果を先週公表しました。本日はその中の「価格転嫁・価格交渉に後ろ向きな大企業実名リスト」(下URL)を解説してみます。(今回が3回目の実名公表になります)
①「価格交渉・転嫁に後ろ向きな大企業」3回目の実名公表リスト >>result_02.pdf (meti.go.jp)
②読売新聞の関連記事:価格交渉でJCOMが最低評価…経産省公表、下請けとの取引で価格転嫁など後ろ向き : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
1)今回の実名企業リストに関する分析
今回の実名リストの評価基準は、前回同様下の表のとおりとなっています。今回実名が公表された企業数は220社であり、前回調査の120社より増加しています。これは、回答企業数が前回の17,292社より35,175社と倍増したことが要因かと思います。(調査対象は前回と同じ30万社ですので、回答率も倍になったことになりますね)下請事業者を中心に中小事業者の価格転嫁・価格交渉に対する意識が高まっているのでしょうね!
以下、今回の調査で価格交渉・転嫁に関し評価の低かった企業、良かった企業のリストになります。JCOMは交渉状況が4段階で最低の評価(エ)。交渉と転嫁の状況がともに2番目に低い評価(ウ)だったのは日本放送協会(NHK)やソフトバンク、KDDI、ヤマト運輸など33社。逆に、交渉と転嫁ともに最高評価(ア)の企業は日立建機・北海道電力・SUBARU・本田技研工業・ジェイテクトの5社。交渉と転嫁のどちらかが最高評価(ア)だったのは、旭化成・ソニー・小松製作所など31社となっています。詳しくは記事の最後に全220社のリストを貼り付けましたので見てみてください。大企業・中堅企業から受注している事業者は、リストの中に受注先企業名がないかチェックしてみてはいかがでしょうか?
2)当調査での企業の実名公表に効果はあるのか?
今回の調査結果公表は3回目になりますが、1年前に公表された1回目調査結果において価格転嫁・価格交渉の評価が低かった企業が今回どのように評価されたか調べてみました。以下の表は、そのサマリーになります。黄色は転嫁・交渉の両方で改善が見られた企業、青色は転嫁・交渉のどうちらかで改善が見られた企業になります。経産省・中小企業庁は評価が芳しくない企業に対しては指導・助言すると言ってますが、実名公表、及び指導・助言の効果はある程度現れているようですね。