中小企業庁は、中小企業の財務情報、経営情報等を把握するため、業種横断的な実態調査として、中小企業実態基本調査を毎年行っています。先週公表された「令和4年中小企業実態基本調査(令和3年度決算実績)速報」は以下のとおりです。
①中小企業庁HP公表記事 令和4年中小企業実態基本調査(令和3年度決算実績)速報を取りまとめました (METI/経済産業省)
②今回の基本調査の統計資料 中小企業実態基本調査 令和4年速報(令和3年度決算実績) 速報 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
上記②の統計データには約4万5千社の財務諸表を業種別・規模別に分析した生データがエクセルで張り付けてあります。このデータを当方で加工して業種別・規模別に1事業者当たりの平均値を算出しました。本日は「損益計算書」(PL)の分析結果をお見せしたいと思います。「貸借対照表」(BS)の分析結果については、後日配信します。
分析した業種は、「建設業」、「製造業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業」、「小売業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」及び「サービス業(他に分類されないもの)」の合計11産業になります。規模別に関しては、「法人5人以下」「法人6~20人」「法人21~50人」{法人50人以上」「個人事業主」の5つに分けました。
以下、ちょっと長くなりますが、全11業種すべての規模別PL分析になります。(今回の損益計算書データは令和3年度(2021年度)の実績であり、コロナ禍の影響が大きく反映されたものである点にご注意ください。)3月決算で今後決算書を作成する事業者も多いかと思いますが、自社が該当する業種・規模のPLデータと比較分析してみてはいかがでしょうか?あくまでも業種を「大分類」で区切った大まかなデータではありますが、何か改善のための新しい気づきがあるかもしれません!
1)宿泊業、飲食サービス業(2021年度)
以下は令和3年度(2021年度)のデータですが、コロナ禍の影響を一番受けた「宿泊業、飲食サービス業」ですので、その影響が色濃く出ています。赤字となっている営業利益を見れば、一目瞭然かと思います。各種給付金、厚労省助成金(雇調金など)、補助金など営業外収益のおかげで、経常利益はなんとかトントンという結果ですね。この業種だけ参考情報として「FL比率」((食材費+人件費)/売上高)を経営指標に追加しました。
2)製造業(2021年度)
3)建設業(2021年度)
4)卸売業(2021年度)
5)小売業(2021年度)
6)生活関連サービス業・娯楽業(2021年度)
宿泊・飲食業同様に、当業種もコロナ禍の影響を大きく受けていることが分かります。(営業利益の赤字)
7)情報通信業(2021年度)
8)運送業・郵便業(2021年度)
9)不動産、物品賃貸業(2021年度)
10)学術研究、専門・技術サービス業(2021年度)
11)サービス業(他に分類されないもの)(2021年度)
最後に、今回の統計データですが、以下のとおり「産業中分類」での分析も可能です。(上記分析は「産業大分類」での分析)業種を中分類で絞り込んがデータを見たいという方、当該エクセルを加工して分析することも可能です。(PLの生データを企業数で割って、1社当たりの平均値を算出する必要がありますが)
ご参考まで。