今週、東京商工リサーチが、以下のレポートを公表しました。
「コロナ禍の借入金、月商の1カ月分が増加」
>>https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210927_01.html
予想されていたことですが、多くの中小事業者においては、「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」を受けて「過剰債務」が新たな課題となっていることは間違いないかと思います。事業者の皆様、現在の借入金は月商の何か月分になってますか?レポートには「ゼロ・ゼロ融資を利用した企業の約6割が据置期間を1年としたが、返済開始と同時にリスケを要請する企業も出ている」ともあります。依然、大変厳しい経営環境ではありますが、事業再構築等の新しい取組で、皆様の業績がコロナ前のレベルまで少しでも早く回復し、資金繰りの問題がないこと切に願っています!また、当レポートを読んで、今後与信管理・売掛金管理にも一層の注意が必要になってくると思いました。
以下、当レポートのポイントのみピックアップしてみました。今後、ゼロ・ゼロ融資の返済が始まることを念頭の上、しっかりと資金繰りを管理する必要があるかと考えます。
1)新型コロナの影響を受けた2021年3月期の企業決算は、4割の企業で前期より借入金が増えたことがわかった。借入金は、月商比で1カ月分が増加した。
2)コロナ禍による企業活動への影響は、すでに1年半が経過した。飲食業や宿泊業、旅行業など、直撃を受けた業種を中心に、影響は広範囲に及ぶ。2021年3月期と2020年3月期の借入金月商倍率を業種別で比較した。
最も増加したのはホテル・旅館運営の宿泊業で、2020年3月期の8.4倍から2021年3月期は22.7倍に上昇し、ダントツだった。次いで、道路旅客運送業(4.8倍→13.3倍)が続く。このほか、4番目には酒類のメーカーを含む飲料・たばこ・飼料製造業(6.5倍→13.4倍)、5番目には旅行業や結婚式場など冠婚葬祭業を含むその他の生活関連サービス業(4.6倍→11.3倍)、6番目に飲食店(4.1倍→9.1倍)などが入り、コロナ禍の影響を大きく受けた業種が上位に並んでいる。
3)総額40兆円に達する「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」のおかげで、企業倒産は記録的な低水準を持続している。一方、ゼロ・ゼロ融資は最長5年間の返済据置き期間が設定された。利用した企業の約6割が据置期間を1年としたが、返済開始と同時にリスケを要請する企業も出ている。また、コロナ以前から経営悪化が続いていたところに新たな借入金を抱えた企業、本業回復が見通せず返済が難しい企業などを中心に、「過剰債務」が新たな課題として浮上している。
厳しい経営環境が続くなか、本業回復の遅れた企業がどれほど利益償還できるのか。コロナ禍の収束時期と同時に、企業の業績改善がいつ動き出すのか、時間との競争になっている。