今年初めての投稿記事になりますが、毎年元旦に中小企業庁長官が発信しています年頭所感について触れてみたいと思います。この所感では毎年、中小事業者支援方針、及び重点支援策が述べられていますが、本日は、この所感の中の「本年度の重点施策・補助金」について解説してみます。(記事の最後に当所感をそのまま貼り付けています)
「中小企業庁長官の年頭所感」:中小企業庁:中小企業庁長官 令和6年 年頭所感 (meti.go.jp)
1)中小事業者支援策方針のキーワード~「省力化」「生産性向上」「価格転嫁」
経産省・中小企業庁の目標は「中小事業者の持続的な成長・賃上げ」ということになるかと思いますが、これを実現するためのキーワードとして「省力化」「生産性の向上」「価格転嫁の強力な推進」の3つが掲げられています!
①中小事業者の「省力化投資」を支援:「中小企業省力化投資補助金」
本年は以前から言われていた(労働時間がより制限される)「2024年問題」の年であり、昨年より経産省も「省力化」「省人化」の必要性を訴えてきました。所感には「構造的な人手不足を乗り越え、持続的に成長するためには、省力化投資も重要です。カタログから選ぶように省力化対応製品を選べる、簡易で即効性がある支援を5,000億円規模で措置し、大胆に進めていきます」とあります。ここでいう支援とは「中小企業省力化投資補助金」のことであり、本年度の目玉補助金と言えるかと考えます。補助対象となる「省力化対応商品」とは、各種ロボット、AI・IoT関連商品を始め様々な省力化商品が補助対象になるかと予想します。申請方法もカタログ型という簡易な方式になりますので、是非今後開示される詳細な情報を注視していただければと思います。1回目の公募開始は3~4月と予想します。現時点の詳しい情報は下URL記事をご覧ください。
省人化・省力化を支援する新補助金「中小企業省力化投資補助金」の大枠が判明! – YMO (yano-support.com)
また、所感には書いてありませんが、省力化支援の一環として、中堅企業、及び規模の大きな中小企業を対象に下URLにある「大規模成長投資補助金」の公募も2月以降に始まる予定です。
【新補助金】中堅・中小企業向けの「大規模成長投資補助金」の大枠が判明! – YMO (yano-support.com)
②事業者の生産性向上支援:ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金など
所感には「中小企業の長年の課題である、生産性向上に対しては、業務効率化や新製品開発に向けた設備導入・DX対応などの前向きな投資をIT導入補助金やものづくり補助金などを通じて支援して参ります。~~~小規模事業者持続化補助金・新規輸出一万者支援プログラムで、事業者の販路拡大を一層支援していきます」とあります。引き続き経産省の主要4補助金(ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金など)の活用をご検討ください。
生産性向上の主要4補助金のPRチラシ:r5_seisansei.pdf (meti.go.jp)
【重要】来年の「ものづくり補助金」公募概要が判明!運用面で大きな変更あり!要注意! – YMO (yano-support.com)
③「価格転嫁の強力な推進」
近年、政府は「賃上げ」を大きな目標のひとつにしていますが、中小事業者が賃上げできる環境づくりとして「価格転嫁の強力な推進」の必要性を明言しています。書簡には以下の記述があります。
「中小企業庁は、公正取引委員会とも連携し、本年も価格転嫁対策に全力で取り組みます。年2回の「価格交渉促進月間」とフォローアップ調査、300人体制の下請けGメンによるヒアリングを踏まえた指導・助言の実施などの取り組みを通じて、交渉と転嫁が継続的に行われる取引慣行の定着を目指します。 (中略) 昨年11月に公表されました調査の結果は、全体として、価格交渉しやすい雰囲気は醸成されつつあるものの、十分な価格交渉や転嫁ができていない面も残るというものでした。受注企業の皆様におかれましては、昨年末に内閣官房と公正取引委員会から示されました「労務費の指針」等を活用しながら、思い切って価格交渉を申し出ていただければと思います。」
ここでいう「労務費の指針」は下URL記事で解説しておりますので、ご覧ください。
【下請業者必見】公取委が「中小の価格転嫁を促す交渉指針」公表!「価格交渉申込テンプレート」も必見! – YMO (yano-support.com)
④賃上げ促進税制の拡充
上記①~③の重点施策に加え、所感では「賃上げ促進税制」の拡充について触れています。
「税額控除率はこれまで最大40%のところ、最大45%となります。加えて、赤字など厳しい状況にあっても、賃上げに取り組んでいただいた皆様が控除しきれなかった金額を翌年度以降に繰り越せる仕組みを作り、その期間を前例のない長期となる5年間とします。」
詳しくは、下URLにある当方のブログ記事をご覧ください。
令和6年度税制改正のポイント【中小事業者関連の優遇税制について】 – YMO (yano-support.com)
以上、中小事業者におかれては、本年も政府の支援策・補助金を有効活用いただければと考えます。