新型コロナ一色であった 2020 年度の決算(2020年 4 月〜2021 年3月)も出そろい、帝国データバンクは、約 10 万 7000 社(金融・保険を除く)の決算データを抽出し、速報値として売り上げや財務状況の傾向について以下のレポートを昨日公表しています
「20 年度決算、約 6 割の企業で売り上げ減少」~減少率トップは「宿泊業」、資金確保で借入も増大〜
>>https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210902.pdf
以下、当レポートの簡単な解説ですが、以下の留意点を考慮して読んで頂ければと思います。詳しくは、上URL資料をご覧ください。
①帝国データバンクの決算データ(約10万社)ですので、約1万社の大企業、及び比較的規模の大きい中小企業の決算データが基になっているかと推察します。つまり、小規模事業者のデータは、あまり含まれていないかと思います。
②決算期が 「2020年 4 月〜2021 年3月 」のデータですので、決算期が2020年4月の企業も含まれています。つまり、2020年4月以降のコロナの影響が全て反映されているとは言えないかと思います。
1)業績動向 〜売上⾼伸び率平均は全体で 0.2%のマイナスに〜
2019年と比べ増収の割合が10%以上減少したとはいえ、2020年「増収」となった事業者が全体の41.5%もいたとのことですが、「本当にこんなに多いのか?」というのが私の実感です。
2)業種別の売上高前年比データ
1)の全体の業績動向と同じように、全ての新型コロナの影響が反映されているとは思えませんが(もっと減収率が大きいはずだと思いますが)、業種毎の影響度合いの傾向が分かるかと考えます。
3)現預金の手持ち日数、及び有利子負債の月商倍率
*以下の結果は、新型コロナウイルス対応の「無利子無担保融資」を利用した資金確保が進んだ結果とみられまる。
*月商に対する有利子負債の割合を示す「有利子負債月商倍率」ですが、2020 年度は 5.1 倍に達し、2019 年度の4.1 倍から大きく増加しています。皆様の「倍率」は、平均以下ですか?それとも平均以上ですか?
4)今後の見通し
このレポートは、今後の見通して以下の記述で結んでいます。業績回復のため、場合によっては思い切った「事業再構築」が必要となる事業者もいらっしゃるかと思います。このブログでも再三触れている「事業再構築補助金」等も活用しながら、是非とも「事業の持続化」に注力して頂ければと考えます。
「新型コロナウイルスの影響による売り上げ急減という危機に対して、企業は新型コロナ関連の制度融資などを利用した借り入れによって手元資金を厚くする動きを鮮明にした。企業の資金繰りは改善し、コロナ以前に比べて企業倒産を大幅に減らす要因の一つとなった。しかし、借入金の増加によって経営危機を乗り切ろうとする対策は、新型コロナの影響が⻑引き業績の回復が遅れると、過剰債務を抱えて身動きが取れない状態に陥り、ひいては金融機関の不良債権といった副作用を生み出す可能性が高い。業績不振、財務内容の悪化による一時的な“歪み”にとどまるのか、あるいは改善への道筋を描けないまま淘汰されていくのか、今後を見据えたコロナ対策と経営支援策が求められよう。」