前回の配信に続き、本日は総合経済対策に盛り込まれた以下の金融支援について書いてみます。
1)経営者保証(個人補償)に依存しない融資制度の促進
2)債務が過剰に増大した事業者への収益力向上・債務減免を含めた事業再生・再チャレンジを支援
1)経営者保証(個人補償)に依存しない融資制度の促進
ご承知のとおり、近年政府は「経営者保証に関するガイドライン」を作成し、できる限り経営者保証に依存しない融資を実行するよう金融機関へ働きかけてきました。(右URLを参照>>融資の際の経営者保証の現状、経営者保証解除の可能性、及びその方策について – YMO (yano-support.com)))
下URLにある資料は、11月1日に開催された中小企業政策審議会(中小企業庁)に提出されたものです。
*11月1日中小企業政策審議会資料>>PowerPoint プレゼンテーション (meti.go.jp)
この資料の5~13ページに「経営者保証(個人補償)に依存しない融資制度の促進」する具体的施策の方向性について説明してあります。検討中であり決まったことではありませんが、今後以下のような施策で経営者保証の解除を促進していく考えのようです。(資料の21ページ)
以下、簡単にまとめてみます。
現在の経営者保証ガイドラインにある解除の要件は以下の3つですが、この要件を緩くして、保証料率を上乗せすることで経営者保証を解除できる方向で検討していているようです。
また、経営者保証の機能を代替的な代替する手法(流動資産を担保とする流動資産担保保険(ABL)や停止条件・解除条件付保証契約など)を民間金融機関へどんどん使ってもらい、経営者保証の解除を促していくようです。
2)債務が過剰に増大した事業者への収益力向上・債務減免を含めた事業再生・再チャレンジを支援
具体的な支援策については、第2次補正予算案資料等を待つ必要があるかと思いますが、岸田政権「新しい資本主要実現会議」の分科会で「新たな事業再構築のための私的整理法制」が検討されているようです。以下、この分科会資料(10月27日)になります。
新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)>>siryou2.pdf (cas.go.jp)
現在、債務の減免等を行う手法の一つである私的整理では、全ての貸し手の同意がなければ債務の減免等の権利変更ができませんが、債権者の多数の同意を得、かつ、再構築計画(事業再構築に関する条項を定めた計画)を裁判所に認可してもらえれば、債務の減免を含めた私的整理ができる制度を検討しているようです。