昨日の記事で「事業再構築補助金の次回公募時期が不明」である旨伝えましたが、その後すぐに日刊工業新聞に「企業庁、「事業再構築補助金」制度見直し 支援枠を3枠に集約」という見出しの記事が掲載されました。以下、その要旨(抜粋)になります。
日刊工業新聞記事(冒頭のみ):企業庁、「事業再構築補助金」制度見直し 支援枠を3枠に集約 | 日刊工業新聞 電子版 (nikkan.co.jp)
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「経済産業省・中小企業庁は中小企業の事業再構築を支援する「事業再構築補助金」の制度を見直す。6枠ある支援枠を3枠に集約し、従来よりも簡素な方法に変える方針。また採択や交付、実績の各段階における審査に人工知能(AI)システムを取り入れ、審査体制を強化する。新型コロナウイルス対策としての役割から、より効果的に中小企業の事業再構築を促す形に改める。」
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「企業庁は六つの支援枠を「成長分野進出枠」「サプライチェーン強靱(きょうじん)化枠」「コロナ回復加速化枠」の三つに簡素化する。事業の採択前、交付前に支出した経費を補助対象にできる「事前着手制度」は原則廃止する。」
上記の制度・運用の見直しは、昨日配信した秋の行政事業レビューでの提案を受けてのものでしょうが、これで来月12月に12回目の公募が開始される目途が立ったかと考えます。このような情報がメディアに出たのですから、来月公募が始ると予想します。次回公募では制度・運用面での大きな変更が予想されますが、詳細は公募開始と同時に公表される公募要領を待つ必要があります。次回公募へ申請予定の事業者は、新しい公募要領をじっくり注意深く読む必要があるかと思います。
以上、簡単ですが、事業再構築補助金の次回公募に関する最新情報になります。さて、来年度以降に事業再構築補助金がどうなるかということですが、以下、おこがましいながら私見を勝手に述べたいと思います。
正直に言って、コロナ禍で苦しむ事業者の再構築事業を支援する目的始まった当補助金は、行政レビューの評価者グループの言う通り役割を終えたのではなかと私も思います。来年度は継続されるでしょうが、再来年度は廃止になってもおかしくないでしょう。あくまでも私見ですが、現行の制度・目的を大きく変更し、補助対象者を現在売上が数億円で成長志向の事業者に限定し、リスクを背負ってでも5年後を目途に20億円以上の事業規模を目指すために実施する新規事業、及び本業の大規模投資を支援する補助金制度に変更できないものかと考えます。(今の再構築補助金と比べ予算規模を縮小し、新規事業・本業が成長分野であることが前提ですが)その際、既に1回採択された企業も申請可能とし、補助上限金額も億単位の高額に設定する代わりに採択のハードルを相当高めに設定する。(例えば、採択率20%前後)また、マンパワーによりますが、もし可能であれば、仮採択後の最終審査として経営者とのリモート面接の実施。結果として採択されれば、地域雇用が大きく増加する等の本当の意味で地域経済を牽引できる企業の有望候補とみなされるようなステータスとなる補助金になれば理想かと。ここまで書いてみると、補助金の名称も「地域経済牽引チャレンジ補助金」みたいな名称がしっくりくるような気がします?
そして、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)のため半期、もしくは四半期毎のレポートも義務付ける。正直言って、今の事業再構築補助金の採択者には多くの小規模事業者が含まれているのでEBPMのためのデータ収集分析には限界があるかと思います。(データの信憑性を含め)また、小規模事業者に過度な報告義務を課すことには、(行政レビューの評価者が想像できないような)大きなストレスになるでしょうから。
現在、政府は将来的に売上100億円を目指すような成長志向の企業を重点的に支援する方針であり、来年度から新補助金である「大規模成長投資補助金」の公募が始ります。長期的に売上100億円を目指す企業の「予備軍」を創出するためにも上記のような補助金があっても良い、それに特化した補助金の方が有効ではないかと思う次第です。とはいえ、持続化補助金・ものづくり補助金等の小規模事業者支援は継続・拡充すべきものであり、成長産業におけるスタートアップ支援の充実も非常に重要なことは十分理解した上での個人的な意見になります。
以上、ここ数年公的機関での相談を含め事業再構築補助金の申請サポートしてきた経験を踏まえ、思うままに勝手に私見を述べてみました。