本題の前にひとつ。事業再構築補助金の「基金設置法人」ですが、ようやく決定しました。予想していたとおり、中小機構が基金設置法人に決まりました。(事務局はパソナで変わりません)
- 中小企業庁HP公表記事
>>https://www.chusho.meti.go.jp/corona/2021/20210318.html
一兆円超の予算規模である事業再構築補助金ですが、今回予算額が基金化されたことで複数年に渡る公募が可能になります。
第一回目の公募は、来週か3月最終週に開始される予定です。また、令和3年度(4月~来年3月)には4回程度の公募が実施されます。経産省は、令和4年度の公募に関しては明言していないようですが、今回の「基金化」「一兆円超の巨額予算」を考えれば、令和4年度も引き続き公募がある可能性が極めて高いと考えます。(予算の消化状況次第ではありますが)
- 「不確実性時代における中小企業経営の変革に関する調査」報告書(近畿経済産業局)
近畿経済産業局は、事業再構築補助金の1回目公募開始直前を狙いすましたかのように、以下にある非常に興味深い報告書を出しています。
- 近畿経済産業局HP:「令和2年度 不確実性時代における中小企業経営の変革に関する調査」報告書を取りまとめました!」
>>https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/report21-2.html
- 報告書(本文:68ページ)
>>https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/frontline/R2fyhoukokusho.pdf
- 「近畿経済産業局では、多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症など、社会環境の変化に不確実性が高まる今日において求められる「企業変革力」に着目した実態調査を実施し、「企業変革力」を獲得した管内の優良企業事例(15社)も含めて、報告書を取りまとめました。」
- 「新たな企業経営を目指すには、企業の経営資源たる新たな「ヒト(従業員の多能化、専門人材の活用など)」、「モノ(仕入先・調達先等の変更、製造拠点の移転など)」、「カネ(新分野展開、新事業への進出などへの投資)」、そして「情報(DX:デジタルトランスフォーメーション への対応など)」の潮流に柔軟に対応できることが、「企業変革力」の獲得に寄与」
私もざっと報告書本文に目を通してみましたが、大変興味深い内容です。経営リソースである「人・もの・金・情報」の観点から、「企業変革力」(=「ダイナミック・ケイパビリティ」)を発揮、高めるには何が必要か詳しく分析しています。特に、今後、事業再構築補助金への申請を検討されている事業者様、当報告書に目を通されることを勧めます。
この報告書は結構なボリューム(68ページ)ですが、お忙しい方でも以下のパートだけは読んでいただきたいです。(下のパートだけであれば、全部で12ページです)
- 7~8ページ(不確実性に対する行動 -待機戦略を採る危うさ-、オーディナリー・ケイパビリティとダイナミック・ケイパビリティ)
- 28~31ページ(4章 本調査結果からの考察)
- 32~37ページ(5章 ダイナミック・ケイパビリティからみた考察)
38ページ以降は「関西企業の事例紹介」ですので、同じような業種の事例があれば見てみてください。
最後に、当報告書と事業再構築補助金の事業計画作成と絡んで、ちょっと思いついたことを2つほど。
- 「企業変革力」(=「ダイナミック・ケイパビリティ」)とは、いかにも審査員受けしそうな言葉ですね!私であれば、事業計画書の最後あたりに「事業再構築の事業が5年後完了した暁には「金業変革力」が相当高くなること、そしてもっと具体的にはどのような能力(ケイパビリティ)が会社に蓄積されるのか」記述したいと思います。
- 「事業再構築補助金の概要」資料には、事業計画書に含めるべきポイントとして「課題やリスクとその解決法」が入っていますが、私であれば、「課題やリスク・その解決法」を「経営リソース(人・もの・金・情報)+ マーケティング」の観点から記述してみます。特に、大きな「成功要因=リスク」である「人」と「マーケティング」に関する記述は必須かと個人的に考えます。