【重要】今後の経済対策の具体策を解説!~年収の壁の対応、各種補助金、賃上支援など~

経営知識

一昨日、岸田首相が閣議において経済対策を10月中にまとめるよう各閣僚に正式に指示した旨の報道がありました。これを受け、昨日、「新しい資本主義実現会議」が開かれ、経済対策の方針・具体策の概要が示され資料が下URLのとおり公表されましたので、本日はその中の事業者支援に係わる方針・具合策について解説します。

「新しい資本主義の推進についての重点事項」>>juutenjikou_set.pdf (cas.go.jp)

1)経済対策のキャッチフレーズ:「コストカット型経済から脱却!」

上の会議資料の冒頭部分には「我が国経済は、コストカット経済からの歴史的転換点にある」「コストカット型の冷温経済を適温の成長型経済に、3年間程度の「変革期間」で転換させる」とあります。つまり、「コストカット型経済からの脱却」が今回の経済対策のキャッチフレーズと理解します。また、記者会見で首相は以下のとおり発言しています。

「人への投資、賃金、さらには未来への投資である設備投資や研究開発投資まで、コストカットの対象として削ってきたことで、消費と投資の停滞を招いた、この状況を「冷温経済」と呼んだ専門家もおられましたが、我々はようやくこの「冷温経済」を脱し、活発な設備投資、あるいは賃上げ、そして人への投資による経済の好循環を実現し、経済の熱量を感じられる「適温経済」の新たなステージに移れるチャンスを、今、迎えています。」

個人的に「そのとおり」かと考えますが、先を予測することが困難なVUCAの時代、リスクを取って成長していくという企業文化・マインドがどれだけ助長されるかがキーなるかと考えます。

2)経済対策の中の中小事業者支援策について

今回の経済対策の柱は上の5つになりますが、中小事業者支援に係わるのは「②地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現」になります。以下、主要な支援方針・具体策になります。

①賃上げ税制の拡充

資料には「中小企業等についての賃上げ税制について、繰越控除・措置の期限の在り方等減税措置の強化を検討する」とあります。具体的には、「日本の中小企業は赤字に陥る法人が多く、いまの制度では税控除を受けられない。赤字の年度は控除を翌年度以降に繰り越し、黒字転換時に適用を受けられるようにする」(日本経済新聞)とのことです。

②「年収の壁」への対応(キャリアアップ助成金大幅拡充、社会保険適用促進手当など)

資料には「年収の壁を乗り越えるための支援を新たな最低賃金が動き出す来月から実施する」とあります。10月からの最低賃金引き上げにより、年収の壁を意識して労働時間を抑える動きが広がる可能性があることへの対応かと思います。具体的には、「従業員101人以上の企業で社会保険料の納付義務が生じる「106万円の壁」への対応として、手取り額回復など賃上げに取り組んだ企業に対し、従業員1人当たり最大50万円の補助金を支給する。(=キャリアアップ助成金)社会保険料を納める必要が生じた場合、手取りが減らないよう企業が従業員に支給する「社会保険適用促進手当」も新設する」(産経新聞)とのことです。昨日、厚労省は具体的な助成金等の支援パッケージを以下のとおり公表しています。特に、パート等の非正規労働者が多い事業者は、下の資料に目を通すことを強く勧めます。

厚労省HP:年収の壁・支援強化パッケージについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

具体的な支援策説明資料:Microsoft PowerPoint – 05_Â ÇŽ _ tÎnÁ xnSbnþÜV.pptx (mhlw.go.jp)

③事業再構築補助金、生産性革命推進事業(主要4補助金)の継続!

資料には「最低賃金の継続的な引上げのため、事業再構築や業務改善等の中小・小規模企業向けの支援措置を充実する」とあります。具体的には、事業再構築補助金、生産性革命推進事業の4補助金(ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継引継ぎ補助金)を来年度も継続、拡充することかと思います。また、今まで以上に「賃上げ」に対して一層のインセンティブ(補助額、補助率の引き上げなど)が設けられるかもしてません。

④工場の新設、大規模な設備投資に対する補助金

資料には「地方においても賃上げが可能となるよう、中小・中堅企業が工場等の拠点を新設する場合、又は、大規模な設備投資を図る場合について、支援措置を実施する」とあります。個人的な推測ですが、現在経産省が力を入れている「将来的に売上100億円規模を目指す成長志向の企業」(例:地域未来牽引企業など)を支援する新しい大型設備投資に対する補助金ではないかと思われます。(もしくは、ものづくり補助金の中の新しい申請枠?)また、日経新聞記事には「一定の賃上げ要件を満たす中小について、工場新設の費用や大規模な設備投資を補助する。地域別の最低賃金の引き上げ率を上回る賃上げを念頭に置く」ともあります。

⑤省エネ補助金、その他

資料には「中小・小規模企業の賃金引上げ及び人手不足解消のため、省人化(人手不足解消)・省力化(高いエネルギーコストの節約)投資への簡易で、即効性がある支援措置を実施する」とあります。省エネ補助金のように思われますが、何か新しい補助金が出てくる可能性があるかもしれません。

⑤経営者保証の新しい制度

資料には「保証料の上乗せ負担とこれに対する支援措置の検討を含め、経営者保証を不要とする信用保証制度の創設を、年度内に前倒しして実施する」とあります。事業者が経営者保証の解除を求める際、保証協会の保証料が高くなることが多いようです。今後、保証料の上乗せ負担分を支援する制度が始まるかもしれませんね?政府としては「コストカット経済からの転換」を唱っていますので、(経営者保証なしに)経営者がリスクを取って新しい事業に取り組める環境を整備したいことが背景にあるようです。

以上が主要な支援策になりますが、以下今回の新しい資本主義実現会議資料の事業者支援に係わる部分を抜粋しておきます。

矢埜 幸男

矢埜 幸男

これまで幅広い分野で多くの和歌山県内事業者を支援してきました。特に、各種補助金の申請サポート、プレスリリース作成サポートにおいては、事業者のお役に立てると自信を持っております!

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矢埜 幸男

矢埜 幸男

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