政府は31日、「新しい資本主義実現会議」を開き、賃金や投資を含む成長と分配の好循環のあり方について議論しました。この会議では、特に10月からの最低賃金大幅引上げに伴う事業者支援策について説明があったので、本日はこの事業者支援策について紹介しておきます。
1)経産省の最低賃金引上げに伴う支援策の拡充 >>shiryou11.pdf (cas.go.jp)
上URL資料に支援策が記載されていますが、大きくは以下の補助金の要件が緩和されます。
- 事業再構築補助金の中で一番採択率が高い「最低賃金枠」の要件が以下の通り緩和されました。このことで、最低賃金枠の要件を満たす事業者が増加することになります。当件は既に現在募集中の第11回公募(10月6日締切)に反映されています。>>saiteichinginwaku_youkenminaosi.pdf (jigyou-saikouchiku.go.jp)
- ものづくり補助金、IT導入補助金に関しては、「事業場内最低賃金を改定後の地域別最低賃金+50円以上の水準にする」と審査において更なる加点を得ることができます。当件は現在募集中の公募回には未だ反映されていないようですが、近日中に募集中の公募内容に反映されるかと思われます。
上記以外の支援策としては、前回の配信にある「価格交渉・転嫁に後ろ向きな大企業の実名公表」の継続などがあります。
2)厚労省の最低賃金引上げに伴う支援策の拡充 >>shiryou12.pdf (cas.go.jp)
当ブログでも、事業者が最低賃金を引き上げる際、(要件を満たせば)是非「業務改善助成金」を活用することを推奨してきましたが、厚労省は業務改善助成金の活用を促進するために、8月31日より以下の拡充を適用することを決定しました。業務改善助成金の概要、及び詳細情報については、下URLをご覧ください。
- 厚労省HP特設ページ:あなたの賃金を比較チェック|最低賃金制度 (saiteichingin.info)
- 業務改善助成金の概要説明動画:https://pc.saiteichingin.info/chusyo/movie.html
最後に、既にご存じの方も多いと思いますが、31日の新しい資本主義実現会議で岸田首相は最低賃金について「さらに着実に引き上げを行っていく必要がある」「30年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指す」と表明しました。長い目で見ても、最低賃金アップに伴う事業者の負担が毎年続いていくことを覚悟する必要がありそうですね。
2030年代半ばまでに「最低賃金1500円」へ…岸田首相「成長と分配の好循環を拡大」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)