昨日、事務局HP(事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.go.jp)にて事業再構築補助金の第10回公募開始が発表になり、併せて新しい公募要領も公表されました!とはいえ、第8回公募の採択結果がまだ発表になってません。さすがに、今日の夕刻(18:00)には採択結果が発表されるのではないでしょうか?
以下、今回の公募内容について簡単に解説してみます。
1)公募スケジュール:第10回公募の申請締切は6月30日!
2)第10回公募の公募概要、及び公募要領
新しい第10回公募要領にさらっと目を通しましたが、第10回公募では申請の大枠・補助スキームが大きく変更されましたので、いつもと比べ今回は公募内容にかなりの変更点があり、且つ申請要件等複雑で分かり難くなっています。申請後予定の方は以下の資料を熟読する必要があります。
①第10回公募要領 :koubo.pdf (jigyou-saikouchiku.go.jp)
②第10回公募の概要資料:事業再構築補助金の概要 (中小企業等事業再構築促進事業) (jigyou-saikouchiku.go.jp)
(注)「サプライチェーン強靭化枠」の公募要領は右>>https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo_sc.pdf
3)公募内容の主な変更ポイント
①申請要件
10回公募の申請要件については先日の配信記事で書きました。(>>https://www.yano-support.com/b-subsidy/saikochuku10th-terms/
以下、今回の公募要領にある新たな補足事項です。
- 「成長枠」の申請要件のひとつが「業種指定」(市場拡大要件)ですが、今回対象業種・業態がアップデートされました。>>seichowaku_list.pdf (jigyou-saikouchiku.go.jp)
- 自社の業種が上の対象業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態であることを証するデータを提出し、認められた場合には対象となり得ます。(詳細は公募要領参照)
- 「産業構造転換枠」にも「業種指定」(市場縮小要件)がありますが、現段階で事務局が指定している業種はたった2業種のみでビックリしました。(出版業と粘土かわら製造業) つまり、これらの2業種以外の事業者は、自分で自社の業種が「コロナ後~今後の10年間で市場規模が10%以上縮小することについて、応募時に客観的な統計等で示した上で、事務局の審査で認められる」必要があります。(詳細は公募要領参照)
- この点について、何故、事務局で対象業種の大枠を決められないのか疑問に思ってしまいます。指定業種に認められなった場合の申請者リスクを考えると、大まかな指定業種ぐらい「自分で決めてくださいよ」と事務局へ言いたい気持ちになります。
- 「産業構造転換枠」においては上記の「業種指定」を満たさなくても「地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること」を満たせば申請可能です。今回、以下の3地域が対象になりました。(今後対象地域は追加になるとのことです)和歌山県では「有田市」(ENEOS)が対象地域となりましたので、有田市の事業者でENEOSグループとの取引が売上の10%以上ある事業者は産業構造転換枠への申請が可能となります。
②審査項目・加点項目
新しい公募要領になる審査項目(43,44ページ)はほぼ同じのようですが、(2)事業加点②の内容がかなり変更になっております。
加点項目(45ページ)として以下の3つが今回追加されています。
- 【健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点】
- 【大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点】
- 【ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点】
③産業構造転換枠であれば、今まで採択を受けた事業者でも申請可能!
事業再構築補助金においては、原則、1回採択されれば2回目の申請は不可です。例外として、既に1回採択を受けた事業者でも、「グリーン成長枠」であれば再度申請が可能でした。今回、以下の条件でこの例外が「産業構造転換枠」にも適用されます。以下、公募要領からの抜粋になります。(16ページ)
「第 1 回~第 9 回公募で採択された者であっても、以下の⑤及び⑥を満たす者は、産業構造転換枠に申請することができます。なお、補助金額は、第 10 回公募締切時点における 1 回目採択分の採択額、交付決定額又は確定額のいずれか最も低い金額と第 10 回公募の産業構造転換枠の補助上限額との差額分を上限とします。
⑤ 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること。
⑥ 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること。」
4)その他注意事項
- 公募要領の30ページに「申請の前に、必ず事務局が実施する説明会に参加してください。説明会の詳細は、事務局HPを確認してください」と新たに付け加えられました。前述した通り、「いつもと比べ今回は公募内容にかなりの変更点があり、且つ申請要件等複雑で分かり難くなっている」ことが説明会開催の理由かと思います。申請予定の事業者は、是非説明会へ参加ください。(多分、オンラインでの開催かとは思いますが)
- 公募要領の41ページに新たに「事業計画書は、申請者自身で作成してください」という文が追加され、ちょっと気になりました。コンサル等の外部の支援を禁止しているわけではありませんが、「丸投げはよくない」というメッセージかと思います。
最後に、第10回公募では旧通常策の後継と思われる「成長策」「産業構造転換枠」の申請要件が大変厳しくなっております。(特に業種指定の要件) 私見ですが、この影響で申請者数が結構減るのではかと予想します。
事業再構築補助金も始まって2年が経ち、再構築のニーズもある程度一巡したようにも思えます。政府として、申請のハードルを高くしても、長期的に産業構造を変えていきたいという意向が背景にあるのでしょうか?それにしても、「産業構造転換枠」に関し、事務局が対象業種を具体的に明示せず、申請者へ対象業種であることの証明を丸投げすることはいかがなものかと思ってしまいます。