前回の配信で経産省が公表した「価格転嫁に後ろ向きな企業の実名を公表した調査資料」を解説しましたが、本日は続報として帝国データバンクが9日に公表した「価格転嫁の成功理由に関する企業アンケート調査結果」(下URL)を取り上げてみたいと思います。調査結果を簡単に解説後、「価格交渉に役に立つ情報」を3つ紹介していますので、「価格交渉は苦手だ」とお思いの方は是非ご覧ください!
価格転嫁の成功理由に関する企業アンケート (tdb.co.jp)
1)調査結果の概要
調査項目は以下の2点ですが、詳細は当資料ご覧ください。(業界別の分析結果もあります。)
①自社の商品・サービスについて多少なりとも価格転嫁ができた理由は何か?
- 下図は当資料からの抜粋ですが、アンケート結果要旨にあるとおり「コスト上昇の程度や採算ラインなど「原価を示した価格交渉」が 45.1%と最も高くなった(複数回答、以下同)。以下、「取引先への価格改定の通知」28.7%)、「業界全体における理解の進展」(25.8%)などが上位」となっています。
- 「価格転嫁」に対して、社会全体は徐々には受け入れ始めているかとは思いますが、前回配信した経産省調査結果にも見る通り、全体の価格転嫁が進んでいる状況にあるとはまだまま言えないと考えます。
- たとえば、当資料の「まとめ」にあるとおり「「他社との競合もありお客さま離れが懸念される」(自動車(新車)小売)といった声や、目に見えにくい電気料金などの価格転嫁はなかなか理解されないという声は多い」ようです。
②2023 年における自社の商品・サービスの値上げ予定(実績含む)はどうか?
値上げ実施時期として年度初めの4月がキリが良いと考えている事業者が多いのでしょうか、「4 月」が 42.8%で最高となっています。
2)値上げ交渉に役立つ情報を3つ紹介します!
①マンガでわかる「価格交渉」(ミラサポPLUSの解説記事) >>https://mirasapo-plus.go.jp/hint/18596/
「値上要求のための価格交渉の進め方」「値下要請に対応するための価格交渉の進め方」などについて分かりやすく解説してあります。
②中小企業・小規模事業者の価格交渉ハンドブック(中小企業庁作成) >>https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/kakaku_kosho_handbook.pdf
下請事業者と親事業者との間で、適正な下請取引が行われるよう、国が策定したガイドラインです。業種別に望ましい取引事例、問題となりうる取引事例が具体的に記載されています。(全部で16ページ)
③価格交渉に関するYoutubeセミナー動画
以下、東京都にある複数の支援機関による「中小企業活力向上プロジェクトアドバンス」に掲載されている価格交渉に関するYoutubeセミナー動画になります。