先月末閣議決定された総合経済対策の中の事業者支援策については、前回配信しました。(>>https://www.yano-support.com/management/keizaitaisaku2022final/)
本日は、その中で割愛した事業者への「金融支援」については書いてみます。経済総合対策資料の中の事業者「金融支援」についての記述は以下のとおり。
上記記述をまとめると、支援策は以下の3つになるかと思います。
1)コロナ融資(ゼロゼロ融資)を利用した事業者で返済が困難な事業者への借り換え支援
2)経営者保証(個人補償)に依存しない融資制度の促進
3)(債務が過剰に増大した事業者への)収益力向上・債務減免を含めた事業再生・再チャレンジを支援
今回は1)について以下具体策を説明します。
①ゼロゼロ融資の借換え支援策の背景
2年前のコロナ感染拡大以降、多くの事業者が公的金融機関(日本政策金融公庫など)、民間金融機関からゼロゼロ融資(無利子無担保)を利用されたと思いますが、以下のとおり返済猶予を経て返済が始るる事業者は来年7月以降に集中するようです。(下の審議会資料18ページ)返済能力のある事業者は問題ないでしょうが、コロナ禍の影響、そして昨今の物価高の影響でで依然として資金繰りに苦しんでおり、金融機関への返済が困難な事業者も多く存在することが予想され、そのような事業者への支援が必要との判断です。具体的にはゼロゼロ融資を新たに借換えることにより、「返済期間を長くする」「新たに返済猶予期間を設けてもらう」ことがメリットになるかと思います。(ほぼ借入金のリスケ(リスケジュール)に近いものかとも個人的に考えます)
②政府のゼロゼロ融資の借り換え支援策の概要
総合経済対策の閣議決定を受け、中小企業庁は今週11月1日の中小企業政策審議会で、コロナ禍で中小企業を支援するため導入した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済負担軽減に向け、新設する借り換え保証制度案を公表しております!
*中小企業政策審議会資料>>PowerPoint プレゼンテーション (meti.go.jp)
*日経新聞関連記事>>「ゼロゼロ融資」借り換え、保証限度は1億円 経産省案: 日本経済新聞 (nikkei.com)
上記(審議会資料19ページ)が今後の借り換え支援策のイメージになりますが、未だ(案)であり、今後正式に決定することになるようです。以下、上の表を補足しておきます。
- 借り換えの条件として「経営指標の向上目標を設定した経営行動計画書の作成」とあります。ゼロゼロ融資を受けた時と比べ、(個人的な意見ですが)今回の借り換えの際の審査は厳しくなるかと思われます。しっかりとした「事業計画書」の作成が必須のようです。
- 保証限度額は、民間金融機関のゼロゼロ融資上限額である6,000万円を上回る1億円に設定されるとのことで、新たな資金調達も可能のようです。ただし、上記の事業計画書の内容・説得力次第かとも思います。
- 100%保証の融資は借り換え後も100%での保証を維持し、保証料は低い水準に設定するようです。保証期間は10年以内、元本の返済を猶予する期間は5年以内です。
- 以上は借り換えの概要・条件の案であり、今後詳細が公表になった際には、必ず金融機関へ相談してください!
以上、次回は同じ審議会資料(PowerPoint プレゼンテーション (meti.go.jp))を使って、以下の2つの金融支援策について書いてみます!
*経営者保証(個人補償)に依存しない融資制度の促進
*(債務が過剰に増大した事業者への)収益力向上・債務減免を含めた事業再生・再チャレンジを支援