予算額1兆円超という前例にない大型補助金である「事業再構築補助金」が始まって約1年になりますが、先週財務省が事業再構築補助金についての分析・見解を述べた資料を公表しています。下URLにある資料は、先週20日に開催された財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の歳出改革部会に提出されたものです。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/02.pdf
中小企業対策についての分析は2~6ページにありますが、私見を交えて以下簡単に解説しておきます。
1)近年の中小企業対策費の膨張について(主因は資金繰り支援と給付金のほか、事業再構築補助金)
- 毎年、中小企業対策・支援はほとんど補正予算で計上されます。下のページにあるとおり、確かに2020年のコロナ禍以降、中小企業対策費が膨張しています。
- 本年度(令和4年度)も4月時点で既に1次補正予算が編成されることがほぼ決まっており、相当額の中小企業対策費が計上されるかと予想します。
- 経常利益・営業外収益の動向に関するデータがあります。当方も中小事業者の決算書を目にする機会が多いですが、確かに近年、多くの中小事業者において給付金・補助金等の営業外収益が異常に増えていることは事実ですね。
2)採択のされ易さや一過性の流行に乗って安易な事業再構築が量産されている可能性。
- 数ある補助金の中でも予算規模がダントツに大きい事業再構築補助金ですので、財務省がちゃんと有効活用されているか否か注視することは当然のことでしょう。
- 下のページにあるとおり、財務省は「中小企業の補助金依存を強めるおそれ」があること、そして「安易な事業再構築が量産されている可能性」があることを危惧しています。「量産されている」とは誇張かと思いますが、確かに正しい指摘でしょう。
- 財務省の危惧を払拭するためにも、事業者には事業再構築補助金を本当の意味にで有効活用してもらいと考えます。思い付きでは決してない、ポストコロナの顧客ニーズ・市場動向、自社SWOT等をFact&Figureで検討した上で再構築事業に取り組む必要があるかと思います。
- 下にある重複案件と思われる事例が載ってます!公募要領には「重複案件の場合、不採択又は交付取消となります」との記載があります。ご注意ください。