経産省の様々な補助金の活用を検討する際、採択のハードルの高さ・採択率は気になるところかと思います。そこで、本日は経産省の主要5補助金の採択率、及び申請作業負荷について解説してみます!
1)経産省の主要5補助金の採択率について
直近の過去3回分の採択結果を以下の表のとおりまとめてみました!
- (この表にはない)コロナ前の採択率と比べると、採択率は総じて高くなっているかと思います。コロナ禍以降、政府も大規模な補正予算を組み、上にある各種補助金に多額の予算を計上したことが大きな理由かと思います。
- 採択率が一番低いのは事業再構築補助金「通常枠」(37%)ですが、補助上限額が8000万円とダントツに高いことを考えれば当然のことかと考えます。それでも、通常枠で3社に1社以上採択されていますので、補助金額を考慮に入れると37%は決して低い数字ではないと個人的に思います。
- 事業再構築補助金の「特別枠」(緊急事態宣言特別枠)の67%という採択率ですが、他の補助金と比べても相当高い数字ですね。特に、持続化補助金(補助金上限50~100万円)より採択率が高いことには、ちょっとビックリです!
- 事業再構築補助金を除く4補助金ですが、コロナ前は採択率にかなりのバラツキがあったかと思います。最近の傾向としては、4補助金の採択率は全て50~60%ぐらいで推移しています。
- 一番採択率が高い事業承継・引継ぎ補助金「専門家活用型」(87%)ですが、この補助金は「M&A時の専門家活用に係る費用( ファイナンシャルアドバイザ ー (F A )、デューデリ費用、 セカンドオピニオン、表明保証保険料等)を補助するもです。事業承継の1形態として「中小M&A」を促進している経産省・中小企業庁の強い支援姿勢の現われかと思います!
2)各補助金の申請作業負荷について(事業計画書の作成時間)
- 多忙な経営者にとって採択率と同じぐらい気になるのが「申請作業負荷」かとも思います。多額の補助金をゲットするつもりなら、それ相応の努力と時間を費やす必要があるのは当然のことです。
- 申請作業の大部分を占めるのは、「事業計画書の作成」になります。5補助金の中で「事業計画書の作成時間」をデータとして公表しているのは今のところ「ものづくり補助金」だけです。以下、ものづくり補助金申請での事業計画書の作成時間データになります。(アンケート調査結果、N数=申請者数、採択者数ではありません)
- ものづくり補助金の事業計画書は、A4で10枚程度記述することになってます。上のデータを見ると、事業計画書の作成時間は、平均で50時間ほどになるでしょうか?私も過去多くのものづくり補助金申請を手伝ってきましたが、作成時間50時間は頷ける数字かと思います。所要日数については、私の経験から平均で2~3か月程度かと推測します。
- ものづくり補助金より作業負荷が大きいのは、間違いなく事業再構築補助金「通常枠」です。補助申請額が1500万円以上であれば、事業計画書はA4で15枚以内となってます。事業再構築補助金の「事業計画書の作成時間」データもいづれ公表されるでしょうが、勝手に推測すれば、「通常枠」の平均で60~70時間ぐらいでしょうか?
- 特に、補助金申請額が大きい場合、100時間を超える事業者も相当数いるかと推察します。ちなみに、最近、私も億を超える投資が必要な再構築事業の申請をお手伝いしました。「記述をどうするか」は言うまでもないですが、「人・物・金・情報の投資をどうするか?」「販売体制・マーケティングをどうするか?」の議論に多くの時間を費やして、私個人として事業者が納得するまで100時間ぐらいは事業計画策定支援に使ったかもしれません。(事業者では複数の人間が関わっていますので、これを考慮に入れると、延べにして軽く200時間以上は費やしたことになります。)
- 事業再構築補助金「特別枠」はA4で10枚以内となってますので、ものづくり補助金と同様平均で50時間ほどでしょうか?
- 持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金の事業計画書作成負荷は、ものづくり補助金より小さいです。それでも採択に値するしっかりとした事業計画書を作成するには30時間程度は必要かと個人的に考えます。
- IT導入補助金の申請は、ITベンダー(IT導入支援事業者)との共同申請ですので、他の補助金と比べるのが難しいですね。電子申請で記述する個所は非常に少ないので、持続化補助金と比べて作業負荷は小さいのは間違いないです。ただし、ITツール・ベンダーの選定、ITベンダーとの打ち合わせなど準備作業もありますので、申請にはそれ相応の時間を費やす必要はあります。
以上、経産省の主要補助金の採択率、及び申請作業負荷について私見を交えて解説してみました。最初に書いた通り、この2年間経産省が多額の予算を補助金に計上することで、採択率はコロナ前より大分高くなっています。この傾向は、2022年度も継続するかと考えます。
しかし、長い目で見れば、コロナ禍という緊急事態を前にした大盤振る舞いがいつまでも続くとは思えません。(今後コロナ禍の経済への影響度合い次第でしょうが)採択のハードルが下がっている今、補助金活用のチャンスかもしれません!本年度、是非主要5補助金の有効活用を検討いただければと思います。