昨日、事業再構築補助金の特設サイトに以下の資料・動画がアップされております。
1)「中小企業庁の事業再構築補助金担当部長による第1回公募結果の解説動画~傾向と対策~」 >>https://www.youtube.com/watch?v=B8knv6KE0JQ&t=1142s
2)「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の分析資料 >>https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/koubo_kekka_gaiyou01.pdf
本日は少し長くなりますが、1)の動画について解説してみます。(この動画は21分になります)
【中小企業庁の担当部長による第1回公募結果の解説動画~傾向と対策】
- 事業計画書の全体的な構成・書き方について、動画では以下のとおり語っております。(以下、動画からのキャプチャーです)
事業計画書では「書いてください」という記述・審査事項が多いのも確かで、それらを網羅することも重要ですが、メリハリをつけて、「事業性」(事業の実現性)に大きく関わる「ターゲット顧客の明確化」「潜在顧客の規模、顧客獲得目標」「顧客獲得・集客方法」などの大きなリスク要因については、文面を多く割いても、しっかりと説得力のある記述が必要ということだと思います。
- 第1回公募の事業計画の特徴として、いかの発言があります。
以上の発言は、「事業性」(事業の実現性)を担保するには、まずは以下のことが重要だということかと思います。 *「参入する市場をよく知っているか?」 *「ターゲット顧客(潜在顧客)は誰か明確か?そして、その規模を把握しているのか?」 *「顧客獲得計画・売上計画は、上の事を考慮した現実的な納得性のある目標となっているのか?」
つまり、以上のような基礎的なマーケッティング調査なしには、事業計画の事業性が疑われるのは当然かとも思います。新しい市場・分野に参入する際、「勘と経験」だけではNGで、しっかりと「市場、及び顧客」について把握する必要があると言えます。
しかし、この部長さん、日本では、中小企業が市場・顧客動向などマーケティングに必要な基礎的な情報を入手する環境が整っていないことも認めてます。(大企業は、お金を使って調査会社への市場調査、モニター調査など依頼できますが)
とはいえ、ウェブ上には膨大な情報が眠っているのは確かです。時間を掛けてでも、信頼性・説得力のあるデータを探してみるしかないと思います。例えば、昨日の日刊工業に以下のような記事が掲載されています。
「事業計画策定において、売り上げ計画は必須である。特に現在公募中の事業再構築補助金では、新規事業によって相当の売り上げを立てることが求められている。納得性のある売り上げ計画を立てないことには、今後採択が難しくなると思われる。」 「問題は需要面である。潜在的にどの程度のニーズがあるかを予測するのは非常に難しいが、ターゲットとなる顧客の総数くらいは予測しておくべきであろう。そこで、いまさらではあるがRESAS(地域経済分析システム)の活用をおすすめしたい。」「また、20年12月にはV―RESASがリリースされた。こちらは、新型コロナが地域経済に与える影響を可視化したものである。」
*RESASサイト>>https://resas.go.jp/#/13/13101 *V-RESAサイト>>https://v-resas.go.jp/
事業計画書作成に必要なマーケティング基礎情報をお探しの事業者様、上のサイトを少し覗いてみては如何でしょうか?使えるかもしれません。
【事業計画書作成における私的見解】
上の担当部長さんの発言は「ごもっとも」ですが、個人的に以下の事も付け加えたいと思います。
1)当方も「事業性評価」が一番のポイントと考えますが、参入する「市場・顧客動向・ニーズ」を十分に把握した上での「マーケティング戦略・施策」が同程度に重要かと思います。これが、売上計画は達成可能かの根拠ですので。
- 商品・サービスは競合他社と差別化できているのか?
- 価格のアイデアは?その根拠は?(安ければ良いものではないですよね)
- 最終消費者へ届くまでのチャネル戦略は妥当か?販路を開拓できる実現性は?
- 顧客獲得・集客のための販売促進策・営業活動は具体的か?効果的と思ってもらえるか?
事業計画における最大のリスクが「顧客獲得・集客」である事業者様が一番多いように思います。中小企業の部長さんの言う通り、上の4点の中で特にリスクのある事項について特にしっかりと記述してはどうでしょう?(リスクの低い事項は、さらっと流して)
2)上の1)に加え、高い事業性評価を得るためには、「実施能力」かと思います。新規事業では、社内の人材だけけでは「本当にやれるのか?」と思われる場合も多いですので、「従業員の教育・研修」「外部人材・パートナーの協力・連携」はしっかりと明記しておくべきかと考えます。
3)私も個人的に事業計画書15枚は少ないと思います。口頭でのプレゼンであれば、計画の重要な個所に多くの時間を使ってメリハリのきいた説得力のある説明が可能ですが、当補助金は計画書のみでの勝負になります。「事業性評価」の観点から、特にどの点を審査員に訴える必要があるか十分考慮し、メリハリのきいた説得力のある記述が求められるかと考えます。
【本事業の意義、担当部長さんの期待】
Youtube動画の最後の部分で、中小企業庁の担当部長さんは、以下のとおり発言しています。
上の2つとも、そのとおりと考えます。ビジネスパートナーとは、今回事業計画書作成の支援者である認定支援機関であり、計画の中の実施体制で明記している外部専門家・パートナー会社になるかと思います。
以上、長々と書いてしましましたが、先日書いた記事のとおり、「通常枠」、特に補助金額が大きい申請においては、審査は相当厳しくなっております。A4サイズで15枚で精緻に、メリハリをつけて、「事業性」が高いことを審査員に納得てもらえるか否かが一番のポイントとなるかと考えます。
PS..明日は一番上にある2)の採択結果分析資料について解説したいと思います。