- 中小事業者におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を分かりやすく解説します!
近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というワードをよく見るようになりました。私も経産省HP等でDX関連の資料・報告書をよく見つけるのですが、内容が主に大企業を念頭に置き、中小事業者の実態とはちょっとかけ離れている内容のものが多いように思っていました。そのため「DX」というテーマを当メルマガで取り上げることを渋っていたところもありました。
昨日、やっと「中小事業者にとってのDXとは何か?」に関する大変分かりやすい資料が近畿経済産業局HPに掲載されましたので、皆様へご紹介したいと思います。当方、大変興味深く一読しました。経営者の皆様、下の近畿経済産業局レポートを是非ご一読ください!(30ページほどですが、図表が多いので、さらっと読めます)
- 近畿経済産業局作成レポート:「「現場と共創する中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)」
>>https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/frontline/frontline_no21.pdf
以下、レポートの要旨として、文中のキーフレーズを抜き出してみました。
- 企業の能力として、与えられた経営資源をより効率的に利用し、利益を最大化する「オー ディナリー・ケイパビリティ(通常能力)」のみならず、企業を取り巻く環境変化を瞬時に察知し、組織内外の経営資源を再結合・再編成する経営者や組織の能力「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」を兼ね備えていることが望ましく、企業変革力こそが競争力の源泉。
- 変革力に必要な「感知」、「捕捉」、「変容」を強化するためにDXが有効。DXへの実現に向け変革力を高めることで、イノベーション(付加価値)が創出され、競争力を獲得できる。
- デジタル化・DXの狙いとして、慢性的な人材不足を想定した「業務効率化」の側面と、その先にある企 業の競争力強化を目的とした「付加価値向上」の側面がある。
- DXの実現に向けては、一足飛びに新製品・サービス創出など「付加価値」向上を 追求するのではなく、「効率性」の向上から段階的に実践している。その結果、デジタル化による効率化で余力が生まれ、余力を活用して社内リソースを組み替え、競争力の源泉となる変革力を高めることとなります。
- 社内共通で正しい理解を醸成させることがポイントです。社内のDX計画の段階から現場の従業員を巻き込み、PDCAサイクルを回していくことで、従業員自らが「自分事」として取り組むことができ、成功体験を重ね、 デジタル化・DXに対する正しい理解が醸成されるよう、現場と共創していくことが、スムーズなデジタル化・ DXの推進に繋がります。
- 中小事業者のDX推進の具体的なイメージですが、レポート20ページ目に製造業者、21ページ目に宿泊業社のDX推進事例がありますので見てみてください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か難しそうですが、以下このレポートを読んでみた個人的な感想です。
- 「デジタル化」「DX」と「IT化」は何が違うのか?レポートを読んでみると、「デジタル化」とは「ITツールを活用して、間接部門を中心に業務の効率化を図ること」、つまり「守りのIT活用」と言えるかと思います。一方、「DX」とは、「ITツール・デジタル技術を使って、付加価値の創出(売上拡大、ニーズにマッチした新商品・サービスの創造、有効な販売マーケティング戦略の策定・実施など)に繋げることで、会社を変革し、競争優位性を築くこと」、つまりよく言われる「攻めのIT活用」に少し似ているかと考えます。
- 事業環境の変化が激しく不確実性が高まっている現在では、確かに今のやり方を変えていく「変革力」が必要です。この「変革力」を高めるためにも「デジタル化」の域から「DX」を実践していくことが期待されているかと考えます。
- ただし、人物金等のリソースに乏しい小規模・中小事業者においては、上にもあるとおり一足飛びにDXを追求するのではなく、まずはITツールを使った業務改善・電子化から始めるべきなのでしょう。
最後にひとつ。最近の記事では「事業再構築補助金」に触れることが多いですが、キーワードの「事業再構築」「業態転換」を検討する際、上の「変革力」が大変重要になってくると思います。新分野進出等で事業再構築補助金の活用を検討される場合、是非「デジタル化」「DX」も新しい事業展開の一つの要素として意識していただければと考えます。